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  2019/1/15    TITLE : 受託者責任回避の為の遵守事項
  年金ファンド(アセット・ホールダー)の資産運用は、受益者たる加入者及び受給者の期待・既得利益の保護(年金受給権保護)という側面が一義的に重要である。それ故、年金ファンドは受益者から年金資産に対する安全性、効率性の管理負託がされているものと考えられる。従って、運用機関のみならず、年金管理者(理事及び運用執行責任者)もまた「受託者責任」を負うのである。当該受託者責任は、「忠実義務(利益専念義務)」、「専門家としての善管注意義務(プルーデント・エキスパート・ルール)」、「分散投資義務」の三つの要件からなると通常理解されている。
   究極のリスク管理者である年金ファンドの資産運用責任者(プルーデントエキスパートな人材)は適切なリスク管理を通して、その意思決定過程のプロセス責任を果たしてこそ受託者責任を完遂出来る訳である。そこで、年金資産運用管理者が受託者責任を回避するために遵守すべき6つのポイントを次に整理して置きたい。

  1点目は中長期の政策的資産配分を示した「投資政策書」の準備である。つまり、運用の基本方針を指し示す年金基金にとって極めて重要な文書をオーソライズしておく事である。まさにプロセス重視の運用基本原則の文書を通した具現化である。
  2点目は、「分散投資」を大原則としなければ、受託者責任は免れないと言う事であり、集中投資を行っていれば過度なリスクテークによる損害に対しては損害賠償責任も免れないものと言えよう。
  3点目は「専門性の高い運用機関の採用」である。ガバナンス、コンプライアンスに優れた、まさに誠実性の高い運用機関(プロフェショナル・インティグリティな運用機関)の採用が望まれるのである。スチュワードシップ責任への認識についてのアセットホルダー側からの確認は当然の事であり、加えて運用機関に対する具体的な運用指図書の準備も忘れてはならない。
  4点目は「アクティブ運用機関の監視」である。適正に理解が出来るリスク水準であるかを常にモニタリングして行く事が肝要であり、アクティブ運用機関が自らの投資哲学を逸脱していないかの検証は極めて重要である。その際の検証には、実践的な運用指図書との整合性も対象としなければならない。
  5点目は「投資費用の節約」である。適正な運用報酬等、常にパフォーマンスの劣化に直接つながる費用の節減に努める事が重要である。無節操な成功報酬体系では無いかも含めて検証が必要である。
  6点目は「禁止取引行為の回避」である。不法なトランザクション等が行われていないかについて、マスタートラスト等を通して確認をして行く事が、運用機関の詐欺的行為の回避に繋がって行くものと言えよう。本邦に於ける過去の運用詐欺(AIJ事件等)事件の教訓からも重要なポイントと言えよう。

以上




代表取締役社長 飛田 公治
<執筆者>
代表 飛田 公治

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