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  2019/1/22    TITLE : 資産配分の意思決定ステップ
  前コラムで述べた年金資産運用管理のキーターム(RATE及び5段階作業プロセス)は、管理者にとってのリスク管理の思考に有意義だと思われるが、資産配分を考えて行く実務上の意思決定段階では、具体的な準備をする作業プロセスが重要となる。
  ついては、具体的な運用ストラクチャーを決定して行く思考過程を5段階で示して行きたい。但し、掛け金計算、収支計算、年金ALMを終了して、財政上からのトータルリスク(母体企業の資金負担能力等を踏まえて)を把握している事が前提となる。アクチュアリー資格を有する指定年金数理人を抱える信託銀行や生命保険会社が、前提となる財政検証作業を担う事が通例である。
  なお、次のステップは、年金資産運用のコンサルタントが運用ストラクチャーを段階的に考える際の大枠と捉えて頂くと良いと考える。

  第1段階は「投資期間」の設定である。つまり、年金ALM分析や収支計算等の財務分析を踏まえて、投資期間(タイムホライズン)の設定が重要である。これは安全性資産やリスク性資産のウェイトの決定に大きな影響を及ぼし、単年度のキャッシュフロー管理にも大事な要素となる。

  第2段階は「資産区分選択」である。どのような安全性資産、リスク性資産があり、流動性の有無等を多様な資産の中から選択し準備して行く事である。この作業は専門的なファンド選定作業を伴う事から年金コンサルタントを活用した資産選択作業を行う事が望ましいと思われる。。

  第3段階は「主要資産配分」である。年金資産運用の運用収益結果(パフォーマンス)の90%近くは資産配分から説明する事が可能と言われている。運用基本方針の中核となる資産配分計画であり、年金ALM結果や母体企業の資金負担能力等との整合性から判断する事となろう。

  第4段階は「副資産配分」である。オルタナティブ商品、不動産ファンド、未公開株式ファンド、保険商品等様々な商品がマーケットに登場しており、当該商品の流動性や解約特性に留意して、投資期間に留意して組み入れを検討して行く事となる。

  第5段階は「運用機関選択」の作業である。プロフェショナル・インテグリティをきちんと遵守出来て、受託者責任を完遂出来る運用機関を定性・定量情報から選択する作業となる。この作業こそ、専門的領域と言え、利益相反の無い第3者たる年金コンサルタントの活用が大きな手助けとなろう。

  以上は、年金資産運用管理者が具体的な運用機関選択に辿り着くまでの思考プロセスを示したものであり、運用ストラクチャーを決定して行く一助となると期待している。

以上




代表取締役社長 飛田 公治
<執筆者>
代表 飛田 公治

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